プロジェクト概要
プロジェクトマネージャー(PM)メッセージ
Message from the Project Manager (PM)
菅野重樹
少子高齢化の進行と、医療・介護の現場での人手不足から、一人一人に寄り添い、1台でさまざまな作業をこなすことで人を支えるロボットの実現が望まれています。
しかし、現在のロボットは、決まった機能を果たすことには長けていますが、複数のタスクをこなすことはできません。また、人との接触に適した柔らかさ・繊細さとパワーの両立も果たされていません。一方、人工知能(AI)は、画像や言語などサイバー空間でのデータ処理に力を発揮し始めていますが、実世界の物事とデータとの関連性をいかに持たせるかが大きな課題となっています。さらに、ロボットと人の共生に関しては、ELSI(倫理的・法的・社会的な課題)や国際的な視点から、あるべき姿を探る必要があります。
こうした背景から、ロボット・AI・社会実装のプロが集まって、本プロジェクトを企画し、2050年にビジネス、家事、介護、看護、治療を自律的に実行可能なスマートロボット“AIREC (AI-driven Robot for Embrace and Care)”を実現することを目指し、開発に取り組むこととなりました。さらに、アカデミアだけでなく産業界、国内だけでなく海外からも連携機関のご協力をいただき、強力な研究開発体制を構築しています。
ロボットがデモンストレーションに留まらず、社会に実装されるための大きなドライビングフォースとなるべくプロジェクトを進めてまいります。皆様のご指導・ご鞭撻をいただけますようお願い申し上げます。
AIRECとは?
What is AIREC ?
“AIREC (AI-driven Robot for Embrace and Care)”は、接客や家事はもちろんのこと、福祉・医療などの現場で、さまざまな高難易度タスクを学習し、自律的に実行できる汎用型スマートロボットです。2050年には、ビジネスにおける接客、家事タスクとして調理・洗濯・清掃など、介護タスクとして移乗支援・清拭・食事介助など、看護タスクとして検査案内・点滴交換など、診断・治療補助タスクとして自動検査・手術支援などの実現を目標としています。
そのために、本プロジェクトでは、
(1)ロボット自体に機械的柔軟性をもたせるとともに、AIによる高い環境適応性を実現するソフトロボティクス
(2)人を含む実空間に柔軟に働きかける身体知と相互誘導型コミュニケーション知能
を開発するとともに、社会受容についての十分な検討と浸透を図るための活動を行います。
2050年の目標達成に向けてのシナリオ
Scenario for achieving the 2050 goals
2050年に、ビジネス、家事、介護、看護、治療を自律的に実行可能なロボットを実現するために、ロボットが「できること」をバックキャストしたシナリオを想定し、各段階で必要とされる技術と社会実装に向けた活動を明確化しました。
このシナリオを達成するために、本プロジェクトでは科学技術分野と社会分野の両面から研究開発を進めていきます。
2030年までのマイルストーンと波及効果
Milestones of R&D until 2030 and their spillover effects
2023年、2025年、2030年における、ビジネス、家事、介護・看護、診断・治療補助などの具体的なタスクおよびコミュニケーションのマイルストーンと、その実現に必要な研究開発のマイルストーンは下表の通りです。
マイルストーンの達成により、2023年にはAIとロボットの融合のための新たな学術的視点を提供することができ、2025年にはAIロボット、人との物理的接触のあるロボットの開発の方向付けを示し、2030年には高齢化社会の人手不足という問題の解決に向けてのインパクトを与えることができると期待されます。
ロゴマークについて
About the logo mark
ロゴマークはシンボルとロゴタイプの2つの要素で構成されています。
シンボルに込められた想い
- 一人に一台一生寄り添うやさしく包み込むスマートロボットAIRECの大きな特徴は”手”。両手で包み込むような優しさとロボットの柔らかさを表現しています。
- 柔らかくて優しい印象のあるパステルカラーをベースに、日本の伝統色を使った、落ち着いた配色にしています。
- グラデーションを使用することで、多種多様な場面や人に対応する想いが込められています。
ロゴタイプについて
- 「読みやすさ」「優しさ」を意識したデザインになっています。
- 書体は、やや太めのウェイト、丸みのあるボディで、包み込む優しさ、ロボットの柔らかさを表現しスタイリッシュにまとめています。